佐藤愛子さんのこと

連休後のニュースで訃報に接しました。あのパワフルでいらした佐藤愛子さんが…。失礼ながら、お名前を聞いてまず浮かぶのが、「全温度チアー」という単語です。

ここで反応する人は、恐らく今、50代以上でしょう。1970~80年代に存在した洗剤の名前で、ご自宅に来る迷惑電話を、佐藤さんがこれ一言で撃退した、というエピソードが焼き付いているためです。何せ、「全温度チアー」です。洗剤会社のどなたがつけたか、このネーミング!。「全温度」という音感からして強烈。今時の洗剤で、これに勝るインパクトの商品名、聞いたことがありません。

ご本人のエッセイ集で読んだのだと記憶していますが、何というか、波瀾万丈をバッサバッサと逞しく切り開いてこられた生涯に通ずるものを感じます。ご自身にぴったりな言葉を、本能的に選ばれたのでしょうか。「全温度」、何でもかかってこい!という気迫と、言葉の意外性で、不届き者がポカーン、となるのが目に見えるようです。

もし、「あの世」があったら向こうから合図を送るから、と仰っていたという遠藤周作さんと、今頃再会されたでしょうか。大正、昭和、平成、令和と、この方ほど「生き抜かれた」という表現がフィットする人も少ないような気がします。足許にも及びませんが、こんなふうに年を取りたい、というお手本であり、憧れです。

佐藤さんの長編作品は、ある意味、こちらの気力体力も試されます。凄く読んでみたくて手に取った「血脈」は、登場人物の多さと密度の濃さに混乱しだして、正直、終わりまで辿り着けませんでした。エッセイ集で、ご本人、「前世」はモンゴルだかどこかの大陸の女酋長?と言われたとありました。「修行が足りん、出直して来い!」と、お叱りを受け、疾走する馬の巻き上げる砂嵐にへたり込んだ気分でした。

近々、コンディション整えて読み直そうと思っています。「全温度チアー」のあの気迫に少しでも近づけるように。

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