段ボールを開けると、「いい土」の匂いがふわっと漂いました。立派なお芋各種に、「おおまさり」という、とれたての落花生です。これらはみな、友人が丹精したものです。
正直、「落花生」に苦手意識がありました。凄く嫌いなわけではないけれど、自分から買って食べるほどではないし、実家で食べる習慣もなかったのです。何となく、あの独特のにおいが…。でも、農家に転身したその友人からは、「うちの代表作物」と聞きました。
その人は本当に凄い経歴で、あらゆるスキルをもっています。びっくりするような「畑違い」の職種を、何でもそつなくこなしてしまうのです。でも、考えたら、それらの仕事は全て、「いのち」と関係あるものでした。鍼灸学校の恩師も、「食わず嫌いは人嫌いに通ずる」と仰っていたことだし、このSさんのお薦めならばと、試すことにしました。
同封の「茹で方」の手紙を読みます。なになに、たっぷりのお湯に塩多め…わかるけれども、せっかくの貴重な品だから、そこは失敗したくない。そう思って他のレシピを見たら、3%の塩分とある…おおお、母なる海水と同じか、と納得しつつ、とろ火で50分。タイマーをつけて、他の用事をしつつ、行ったり来たり。
そのうちに、「お豆」の香りが漂ってきて、「やや?これは?」…「あの苦手な臭いと違う!」火を消して10分待つ間に、塩味がしみるとのこと、冷める時に煮物に味がしみるのと同じ原理です。
ワクワクしつつ試食しようとしたところで、初歩的な難題が…殻の割り方でつまづきました。そこでまた調べて…便利な時代です、コツを伝授してくれる動画まであるのですね。鳥の嘴の先みたいなところの下を親指で押すと、パカッ!といい感じにひびが入る。
不思議な形のスペースに、無駄なく2つか3つのお豆がキッチリ収まっている様子に目をみはりながらつまむと、適度にしみた塩味が、豆の上品な甘みを引き立ててホッコリと…。
「お、これは!!」と、お行儀悪いですが、つまみだしたら手が止まらない。
「いやぁ、この程度の量は、なんだかんだで、あっという間に食べちゃいますよ」とのSさんの言葉は本当でした。勝手に抱いていた苦手な臭いは、「人工的なピーナツバターのにおい」だったのかもしれません。「本物」はいい意味で思いっきり裏切ってくれたのです。
自然なものは、基本、品のいい味がする、ということを再認識しました。
大地とお日様と人の手による、有難い秋の恵でした。